薮下 "Yabby" 晃正
1. 兆 (きざし) [INSIGHT]
Q:「何かが変わる、新しい何かが始まる」を覚えた瞬間、ムーブメント、あるいは音楽作品。A:・サニーデイ・サービス ニューアルバム『サニービート』(2025.12.10)
・『RELAXIN' WITH JAPANESE LOVERS VOLUME 9 MAY YOU STAY FOREVER YOUNG JAPANESE LOVERS COLLECTIONS』(2025.06.25)
曽我部くん本人にも直接伝えたけれど、最近のサニーデイ・サービスのライヴの充実ぶりが素晴らしい!オリジナル・メンバーである曽我部恵一、田中 貴の両名が 50 代半ばにして最盛期を迎えていることに同世代として拍手を送りたいです。エフェクターを通さずアンプ直で繋いだギターをかき鳴らし、目をつぶり天を仰いで気持ちよさそうにシャウトするライヴのイメージが目の前に甦るかのようなシンプルなバンド・サウンドに立ち返った最新作『サニービート』、これまで以上にシンプルに研ぎ澄まされた言葉と今なお青春の息吹を感じさせる瑞々しい演奏が融合した本作は通算 15 作目にして最高傑作と言っても過言ではないでしょう。
そしてもう 1 枚、2001 年からこの『RELAXIN' WITH LOVERS』シリーズをスタートさせた僕も昨年、9月で遂に 60 歳を迎えました。
当初、洋楽のみでスタートしたこのシリーズのスピン・オフとして 2004 年初めてリリースした和物編『RELAXIN' WITH JAPANESE LOVERS』の最新作を 2025 年に出せた事をとても嬉しく思います。22年かけて、新旧、ジャンル、メジャー、インディーズ等々悩みながら到達したこのシリーズの選曲の境地が今回のVOLUME 9には表れてるんじゃないかと思います。そしてこの作品を最後に 2025 年 12 月 21 日に逝去された大切な友人であり、このシリーズのグラフィック・デザイナー/アート・ディレクターとしてずっと携わってくれた小野英作氏、往年のマガジンハウス刊行の伝説的雑誌「relax」の AD をはじめ、『Free Soul』や『Cafe Apres-midi』など数々の素晴らしい作品を手掛けられた彼に謹んでご冥福をお祈りします。
2. 韻 (のこる) [ENERGY]
Q:熱量だったり一体感などに、心底圧倒された 2025 年の現場光景。A:・『RETURN OF THE ORIGINAL ART-FORM featuring MAJOR FORCE
~’80s-‘90s TOKYO FLYERS EXHIBITION』@JULY TREE(ジュライ・トゥリー)2025年5月17日(土)~5月31日(土)
手前味噌ではありますが自分もキュレーションでお手伝いした東京ストリート・シーンの源流でもある ’80 年代 ’90 年代にフォーカスしたクラブ・フライヤー展。88 年に高木完、藤原ヒロシ、屋敷豪太、工藤昌之、中西俊夫によって設立された日本初のクラブミュージック専門レーベル、メジャーフォースを中心に当時のストリートの熱気を感じさせる数々のフライヤーが壁一面に所狭しと展示されている様は圧巻でした。
「インターネット元年」とも言われる 1995 年前後のイベントやクラブ情報が黎明期という事もありもはや、一番検索しても見付けにくいアイテムかもしれません。
そういった意味では今回、スチャダラパーを始めとするフライヤーに記されたアーティスト自身が多数訪問してくれるなど、当時、落書きと言われたグラフィティーが現代アートへと昇華されたように、すぐに捨てられてしまう些末で泡沫なフライヤーを今、アーカイブすることの文化的意義を実感しました。
3. 拓 (ひらく) [PERSPECTIVE]
Q:年間を通して出会ったあらゆる表現の中で、視野を広げてくれたり、良き刺激もらったもの。A:・書籍『DUB入門──ルーツからニューウェイヴ、テクノ、ベース・ミュージックへ (ele-king books)』(2024.08.28)
監修・編集・執筆:河村祐介
これだけ 2024 年の書籍ではありますが、刊行当時すぐに品切れとなってしまう程の大好評の中、現在も続々重版を続けています。
雑誌『remix』編集部、LIQUIDROOM を経て、現在 OTOTOY 編集部所属という永きに渡る友人、河村祐介氏によるかつてジャマイカで誕生し、近年再注目を集めるダブがどのように生まれ、いかにして広まり、ここまで拡張したのか?そのすべてを現代の視点で俯瞰し、レゲエのみならずルーツからニューウェイヴ、ディスコ、テクノ、アンビエント、ベース・ミュージックまで400枚以上の作品を紹介するダブ・ディスクガイドの決定版です。
既に知ったつもりでいたダブへの認識を、ディスクガイドのみならずエイドリアン・シャーウッド、アンドリュー・ウェザオール、こだま和文、内田直之などアーティスト自身へのインタビューも交えながら更に拡げてくれる名著です。
4. 伴 (あいぼ) [TOOL]
Q:ハードな現場、日常、執筆など支えてくれたり、「一緒に戦ったな」と思う2025年の「相棒」。A:・Little Nap COFFEE ROASTERS の愛飲するコーヒー豆。
以前、代々木上原に住んでた頃によく通っていた、友人でありめちゃくちゃミュージックラバーで、フジロックをはじめ数々のフェスにも出店し、自身で楽器もプレイするバリスタで店主、濱田大介氏が手掛けるこのお店のコーヒー豆を愛飲してます。子供の学校の都合で経堂に引っ越したこともありコロナ以降、リモートや自宅作業も増えて、お店で飲むよりもコーヒー豆を買って、家で淹れて仕事の合間のコーヒーブレイクを楽しむために欠かせないアイテムとなっております。
お店は濱田大介氏の屈託のない人柄もありミュージャンやクリエイターの方が沢山常連で通うサロンでもあり、先日、同店舗で開催された 2 月 11 日の 15 周年パーティでは奥さまがメンバーでもある TICA や YOSSY LITTLE NOISE WEAVER のライヴやDJも催され満員御礼の大盛況でした!
5. 芯 (どだい) [CONTINUITY]
Q:時代の激流の中で、これだけは守り抜いた「自分なりのルーティン」。A:20 代から継続しているレゲエ / ラヴァーズ・ロック / DUB の DJとしてのクラブでの PLAY かな。
コロナの一時時期を除けばほぼ毎月、どこかのクラブや現場で必ずでDJをしてます。
現場の心地の良いサウンド・システムでアナログのレコードを中心にプレイすることは仕事でありながら息抜きであり、もはやライフワークになりつつあります。勿論、自身が制作したアナログをそこでかけてダイレクトな反応を試す実験の場であったりもします。
今月も3月1日は日本のレゲエ・シーン最重要人物、元 Taxi Hi-Fi の佐川修氏によるイベント“DEEPER ROOTS”@ 渋谷:虎子食堂、3 月 3 日は RHYMESTER の DJ JIN さんを始めとする DJ の皆さんと NERVY FINAL ANNIVERSARY @ 渋谷:CLUB BALL、 3 月 27 日には東北沢 ROMANTIQUE で DJ してるのでもし東京にいたら是非遊びに来てください!
同様にアナログを常にディグるレコ屋巡りも 3 日空いたら禁断症状が出るくらいルーティンになってます。
“レコード屋がない街には行きたくない”と自身の著書で語っていたのは元ピチカート・ファイヴの小西 康陽氏だったかな?
中古レコード屋でレコードを無心でチェックしてる時が一番、仕事のアイディアが浮かぶ、もはや僕にとっての瞑想みたいな時間だったりします(笑)。
一年の余韻を胸に、私たちは2025年の足跡を振り返ります。本プロジェクト『Traces』には、国境や言語を越え、アジアを横断する音楽家とその歩みを支える共鳴者たち、総勢30名超が集結しました。
5つの漢字に託された、私たちが大切にしてきたもの。
個々の記憶に深く宿るぬくもりをアーカイブし、リスナーや読者へと届けていく。
The Artists:
「響、景、航、触、律」
The Pro-Voices:
「兆、韻、拓、伴、芯」
正解のない、不安な時代だからこそ。
この言葉たちが、小さくともしなやかな「可能性」の種となることを願って。
分断を越え、新しい時代の「輪郭」を、共に手繰り寄せるように。
5つの漢字に託された、私たちが大切にしてきたもの。
個々の記憶に深く宿るぬくもりをアーカイブし、リスナーや読者へと届けていく。
The Artists:
「響、景、航、触、律」
The Pro-Voices:
「兆、韻、拓、伴、芯」
正解のない、不安な時代だからこそ。
この言葉たちが、小さくともしなやかな「可能性」の種となることを願って。
分断を越え、新しい時代の「輪郭」を、共に手繰り寄せるように。
Curation:Zing
Edit:neciak
Design:10000
Edit:neciak
Design:10000
レコード会社 A&R / プロデューサー / DJ RELAXIN' WITH LOVERS 主宰
textur3 2024-2026