Tune Lee

 




1. 響 (ひびき) [SOUND]

Q:2025 年、世界のノイズに塗りつぶされることなく、心に深く、静かに突き刺さった「音」。

A:Sam Gendel の諸作、そして Oneohtrix Point Never。

サム・ゲンデルのアルバムは、静かですが、同時にひりつくような張力がある。

インストゥルメンタルなので、頭の中で自由にジャム・セッションが始まるような感覚があります。

あとは OPN の『Magic Oneohtrix Point Never』。ここ数年の中で、真に「選ぶべき」と言える電子音楽の一つだと思います。




2. 景 (ひかり) [MOMENT]

Q:誰かと、あるいは自分自身と「繋がった」と感じた 2025 年のライブ光景。

A:Squarepusher のライブで、気づいたら泣いていたこと。

以前観た彼のステージをふと思い出していました。

彼は常に音楽の未知なる場所にいて、その圧倒的な孤独感や未来感に、自分の表現者としての歩みが重なり、強く共鳴してしまったんです。




3. 航 (わたる) [FICTION]

Q:年間を通して、創作の糧、あるいはメンタリティ座標となった作品。

A:ノーレン・ガーツ(Nolen Gertz)の『ニヒリズム』。

ふとした時にこの本を手に取って、ページをめくります。

私にとっての、静かな精神的スペースのような一冊です。



4. 触 (ふれる) [MATTER]

Q:制作や日常生活に温かさを与えてくれて、身体の一部のように馴染んだ「モノ」。

A:Jess Chonowitsch(イェス・コノウィッチ)のパイプ。

十数年前に作られたこのパイプを燻らせる時間は、完全に「ゾーン(フロー状態)」に入れます。

世界中の名品を試しましたが、イェスのパイプは良質な音楽と同じで、淡い香りがゆっくりと、最も心地よい場所まで連れて行ってくれます。




5. 律 (リズム) [CONTINUITY]

Q:激しく動く時代の中で、変えずに続けてきた「自分だけの儀式」。

A:朝一番に、お香を焚くこと。

特定の宗教を信仰しているわけではありませんが、あの匂いが好きなんです。

心の中にある雑念を、一度リセットしてくれるような感覚があります。










一年の余韻を胸に、私たちは2025年の足跡を振り返ります。本プロジェクト『Traces』には、国境や言語を越え、アジアを横断する音楽家とその歩みを支える共鳴者たち、総勢30名超が集結しました。

5つの漢字に託された、私たちが大切にしてきたもの。
個々の記憶に深く宿るぬくもりをアーカイブし、リスナーや読者へと届けていく。

The Artists:
「響、景、航、触、律」

The Pro-Voices:
「兆、韻、拓、伴、芯」

正解のない、不安な時代だからこそ。
この言葉たちが、小さくともしなやかな「可能性」の種となることを願って。
分断を越え、新しい時代の「輪郭」を、共に手繰り寄せるように。


Curation:Zing
Edit:neciak
Design:10000





Tune Lee
レーベル Sof. 主宰。A&R、音楽プロデューサー。



textur3   2024-2026