小吉 Siugat
1. 兆 (きざし) [INSIGHT]
Q:「何かが変わる、新しい何かが始まる」を覚えた瞬間、ムーブメント、あるいは音楽作品。A:2025年、私は音楽イベントレーベル「爪巴 JABA」のメンバーとして2本の屋外公演を企画から開催まで関わりました。
当時、会場でふと気づいたことがあります。ステージ前でライブを観て踊っている人がいる一方、屋外の空気そのものを楽しんでいる人、友人同士でたわむれる人、あるいはただどこかに腰を下ろして静かにその場に身を置いている人もいました。そこには、それぞれがそれぞれの方法で、自分なりの楽しみ方で過ごしている風景が広がっていました。
その後、私たちはいくつかの良い反響も見ることができました。
私が思うに、いま観客が求めているのは、音楽そのものだけではなく、特定の面白い体験なのかもしれません。そうしたポジティブな体験はやがて、参加した人たちの共通の記憶となり、そしてこれらの活動は、私たちが伝えたい思考や価値観をも映し出します。
では、いかにしてこれらの体験を観客に提供するか。
それこそが、これから「爪巴 JABA」が本気で考えていくべきテーマだと思っています。
それから、私たちは毎週、最近の公演情報を整理・収集して「爪巴 JABA」の公式WeChat内の「遊びに出かけて」というコラムで発信しており、自然と広州のライブ市場の状況を観察するようになりました。多くの主催者が広州の興行収入は不安定で、時には落胆させられることもありますが、その一方でチケットが完売する公演も少なくありません。
個人的に、今は特定のバンドに対する同じコミュニティ内での話題性や注目度が、主催者にとってチケット販売の良し悪しを判断するための重要な指標の一つになり得ると考えています。ただし、そうしたコミュニティ内部の情報の流れを把握するには、まずそのコミュニティの中にいる必要があります。これまで私たちが重視してきたバンドのジャンルや立ち位置、実力の評価は、現在の興行収入を予測する上では、以前ほど重要ではなくなっているように感じます。
2. 韻 (のこる) [ENERGY]
Q:熱量だったり一体感などに、心底圧倒された 2025 年の現場光景。A:2025年、私は広州で小山田圭吾(Cornelius)のライブを観ました。彼はステージ上でほとんど笑顔を見せず、言葉数も多くはありませんでしたし、もちろん会場の雰囲気も emo や hardcore のバンドのようにステージとフロアが一体となってぶつかり合うような激しさがあるわけではありませんでした。
しかし、彼の音楽に向き合う姿勢、作品そのものの内容、そしてライブ制作の完成度から、日本の現代ポップミュージック史におけるアイコン的存在としての音楽への情熱を、私は確かに感じ取ることができました。非常に心を打たれる体験でした。
3. 拓 (ひらく) [PERSPECTIVE]
Q:年間を通して出会ったあらゆる表現の中で、視野を広げてくれたり、良き刺激もらったもの。A:私はポッドキャスト「台湾第一通勤品牌」をよく聴いています。
彼らは本当にトークが上手で、とても面白いというのもありますが、それ以上に、様々なテーマについての議論を通して、台湾の人たちがどのように物事を認識し、どんな思考の仕方をしているのかを知ることができる点がとても魅力的だと感じています。
4. 伴 (あいぼ) [TOOL]
Q:ハードな現場、日常、執筆など支えてくれたり、「一緒に戦ったな」と思う2025年の「相棒」。A:友人から譲り受けた「TASCAM 112B」のカセットデッキ。
Portal で仕入れてきたカセットをこのデッキで聴いたり、わたしたちが制作しているテープアルバム作品のチェックに使ったりしています。時には友人がマスタリングのために持ち込むこともあります。
こうして日々現役で活躍してくれているこのデッキを託してくれた友人には、本当に感謝しています。
5. 芯 (どだい) [CONTINUITY]
Q:時代の激流の中で、これだけは守り抜いた「自分なりのルーティン」。A:現在の国内音楽シーンは、10年前と比べて大きく変わり、アーティストが得られるチャンスや露出も確実に増えています。そうした機会を前向きに受け止めながらも、同時に、自分はもう少しインターネットから距離を置いたあり方も残しておきたいと思っています。
物事がオフラインで起こり、そのままオフラインに留まるような側面も残しておきたいと考えています。例えば住所を公開しない小規模なDIYライブの開催や、公開プラットフォームでの宣伝はなるべく使わずに、1対1の個別連絡に留めたりするなどです。
人と人とのリアルな交流や繋がりを少し増やしていったら、どんな結果になるのか、どんなことが起こるのかを見てみたいと思っています。
一年の余韻を胸に、私たちは2025年の足跡を振り返ります。本プロジェクト『Traces』には、国境や言語を越え、アジアを横断する音楽家とその歩みを支える共鳴者たち、総勢30名超が集結しました。
5つの漢字に託された、私たちが大切にしてきたもの。
個々の記憶に深く宿るぬくもりをアーカイブし、リスナーや読者へと届けていく。
The Artists:
「響、景、航、触、律」
The Pro-Voices:
「兆、韻、拓、伴、芯」
正解のない、不安な時代だからこそ。
この言葉たちが、小さくともしなやかな「可能性」の種となることを願って。
分断を越え、新しい時代の「輪郭」を、共に手繰り寄せるように。
5つの漢字に託された、私たちが大切にしてきたもの。
個々の記憶に深く宿るぬくもりをアーカイブし、リスナーや読者へと届けていく。
The Artists:
「響、景、航、触、律」
The Pro-Voices:
「兆、韻、拓、伴、芯」
正解のない、不安な時代だからこそ。
この言葉たちが、小さくともしなやかな「可能性」の種となることを願って。
分断を越え、新しい時代の「輪郭」を、共に手繰り寄せるように。
Curation:Zing
Edit:neciak
Design:10000
Edit:neciak
Design:10000
広州レコード店 Portal やプロモーター爪巴JABAで少しずつ活動している。「どうやら生きている限り、働くことからは逃げられない」と悟る。
Portal https://www.instagram.com/portal_canton/
爪巴JABA https://www.instagram.com/jabajabagz/
textur3 2024-2026